ドライアイスは、冷却力が強力でさまざまな用途に活用されますが、自然に気化してしまうため、正しい保存方法を知っておく必要があります。
この記事では、ドライアイスがどのように昇華するのか、その性質や保存における温度、湿度、空気の流れの影響について詳しく解説します。
また、寿命を延ばすための工夫や、適切な保存場所・容器の選び方、取り扱い時の安全対策についても併せて紹介しますので、ぜひご参考ください。
ドライアイスの保存の基本原則
ドライアイスは、二酸化炭素(CO₂)を冷却し、固体化したものです。
私たちが普段目にする「氷」とは異なり、水を固体にした氷が溶けて水になるのに対し、ドライアイスは液体化せず、固体から直接気体に変化します。
ドライアイスは温度と環境の影響を受けやすい
ドライアイスの保存において、温度は非常に大きな影響を与えます。
ドライアイスが昇華する温度は約マイナス78.5℃と低いですが、それを超える環境に置かれると、時間とともにどんどん気化していきます。
特に高温環境では、昇華が加速し、短時間でドライアイスが消失してしまう可能性があります。例えば、夏場の直射日光が当たる場所に放置すると、大きなドライアイスでもたった数時間で無くなることもあります。
そのため、ドライアイスを長時間維持するためには、保存場所の温度をできるだけ低く保つことが重要です。
湿度と空気の流れも昇華の速度に影響を与える
湿度が高いと、空気中の水分がドライアイスの表面に付着し、その水分が熱を伝導しやすくなるため、昇華が進みやすくなります。
これを防ぐためには、湿気を避けることがポイントです。
さらに、空気の流れも大きく関与します。風通しの良い場所にドライアイスを置くと、周囲の空気が常に入れ替わり、新しい温かい空気がドライアイスに接触するため、昇華が早まります。
そのため、保存する際は、風が直接当たらない場所を選ぶことが推奨されます。
このように、ドライアイスを効率的に保存するためには、環境温度や湿度、空気の流れなどの要因をしっかりと理解し、適切な保存環境を選ぶことが重要です。

ドライアイスの正しい保存方法
ドライアイスは断熱性の低い場所や高温環境ではすぐに気化してしまいます。
そのため、ドライアイスを長持ちさせて保存するために重要なポイントは、断熱性の高い場所で保管することです。
また、家庭で使用される冷凍庫や冷蔵庫はドライアイスの保存には適していません。
最も推奨されるのはスチロール製のクーラーボックスや、専用の断熱バッグを使った保存方法です。
発泡スチロールは非常に優れた断熱材であり、外部からの熱を遮断しつつ、ドライアイスの昇華を最小限に抑えることができます。
また、スチール製のクーラーボックスは完全に密閉されないため、昇華によって発生する二酸化炭素ガスを適切に外に逃がすことができ、安全な保管が可能です。
保存容器を選ぶ際のポイント
ドライアイスを保存する際には、完全な密閉容器の使用は避けましょう。
ドライアイスが昇華すると、二酸化炭素ガスが発生します。このガスが密閉容器内に溜まると、内部の圧力が急激に上昇し、容器が破裂する危険性があります。
特に、完全に密閉されたペットボトルやガラス製の容器での保存は絶対に避けてください。破裂の際にガラス片が飛散するなど、重大な事故につながる可能性があります。
代わりに、ドライアイスを保存する容器には通気性が確保されたものを使用しましょう。これにより、ガスが溜まることによる破裂の危険性を避けることができます。
蓋がしっかりと閉まるが、完全には密閉されない容器が理想的です。
保存する際の注意点
ドライアイスを取り扱う際には、いくつかの重要な注意点があります。
まず、ドライアイスを直接手で触れないことが非常に大切です。ドライアイスの表面温度は非常に低く、直接触れると凍傷を引き起こす危険性があります。
ドライアイスを扱う際には、必ず厚手の手袋や専用のトングを使用するようにしましょう。
また、ドライアイスは非常に冷たいので、保存場所も注意が必要です。特に子供やペットの手が届かない場所で保管することが重要です。
子供やペットがドライアイスに興味を持って触れてしまうと、重大なケガにつながる可能性があります。安全な場所に保管し、子供やペットが近づかないよう配慮しましょう。
さらに、換気が十分に行える場所で保管することも重要です。ドライアイスが昇華すると、二酸化炭素ガスが発生します。
狭い室内や換気の悪い場所で大量のドライアイスを保存すると、ガスが蓄積し、酸欠状態になる危険性があります。
特に自宅でドライアイスを大量に扱う際は、窓を開けたり、換気扇を使って室内の空気を循環させるように心がけましょう。
冷凍庫・冷蔵庫で保存はダメ
先述の通り、冷凍庫や冷蔵庫でドライアイスを保存することは推奨されません。
ドライアイスは非常に低温であり、家庭用の冷凍庫や冷蔵庫ではその温度を維持することができません。
また、冷蔵庫内で昇華した二酸化炭素が蓄積されることで、冷蔵庫の密閉性が逆に危険を引き起こす可能性があります。
さらに、ドライアイスの冷却力が強すぎて、冷蔵庫や冷凍庫の温度センサーや冷却機能に悪影響を与える可能性もあるため、冷凍庫や冷蔵庫でのドライアイスの保存は避けましょう。
ドライアイスを正しく保存するためには、
- 断熱性が高く通気性のある容器を選ぶ
- 換気の良い場所で管理する
この2点のポイントが大切です。
これらを守ることにより、ドライアイスを安全かつ効果的に使用することができ、事故を防ぐことができます。

ドライアイスを車内で保存・運搬する際の注意点
ドライアイスを車内で保存・運搬する際には、いくつかの重要な注意点があります。
ドライアイスは昇華して二酸化炭素(CO₂)ガスを放出するため、車内という密閉された空間では特に安全に配慮する必要があります。
ここでは、車内でのドライアイス保存の注意点を紹介します。
車内の換気を確保する
車内という密閉された空間で二酸化炭素が蓄積すると、酸欠状態になる危険があります。
そのため、車内でドライアイスを運搬・保存する際には、必ず換気を行いましょう。
窓を開けたり、エアコンの外気導入モードを使用して、新鮮な空気を取り入れることが大切です。
車内温度に注意する
車内は直射日光やエンジン熱によって高温になりやすく、ドライアイスの昇華が加速します。
特に夏場は、車内の温度が急上昇するため、直射日光を避け、涼しい場所にドライアイスを置くようにしましょう。
可能であれば、運搬時には断熱材を使用し、車内の温度を低く保つ工夫が必要です。
また、車内にドライアイスを長時間放置しないようにしましょう。
体調不良を感じたら車を安全な場所に停車する
ドライアイスの運搬中、車内に二酸化炭素が蓄積してしまうと、酸欠を引き起こす可能性があります。
もし、車内で体調不良(息苦しさ、めまいなど)を感じた場合は、すぐに車を安全な場所に停車し、ドライアイスを取り出して換気を行いましょう。
車内でドライアイスを取り扱う際はご注意ください。

まとめ
この記事では、ドライアイスの保存方法についてご紹介をしました。
ドライアイスは、断熱性の高い容器やスチロール製クーラーボックスを使用し、日光や直射熱を避けることで、寿命を延ばすことができます。
さらに、新聞紙やタオルで追加の断熱対策を施すと、より効果的です。正しい保存方法と安全対策を実践して、ドライアイスを安全かつ長持ちさせましょう。